みなさんこんにちは!愛とロマンの男マーカスです!
住宅を計画したいと思っている方、注文住宅を設計中の方、トイレってなにするとこ?て考えたことありますか?
『用を足すところ』
正解! じゃまたね!
…じゃなくって、‥尋ね方を間違えました。
そのとおりトイレは用を足すところではあるんですが、実はもっともプライベートを意識しなくてはいけない場所であるのです。しかし家族以外のゲストも使用するという、ある意味パブリック的要素も併せ持つ特殊な空間でもあります。
ですから、トイレの配置やトイレの環境はただ「用を足す」だけのためではなくて、誰もが気持ちよくトイレを利用するために上手く計画する必要があるのです。
今回はトイレの位置やトイレの数、室内の環境や換気、音の問題など総合的にご紹介していきたいと思います。
トイレの位置は共用部が無難
前述のとおり、トイレは家族以外の利用も考えるべきですので基本的には共用部分に面して配置することが無難です。
ここで注意しなくてはならないのが、「トイレの出入り」に気をつかうという点です。
トイレ中の姿を見られることはとっても恥ずかしいですよね。それと同じでトイレに入る姿や出てくる姿を見られることも心理的には恥ずかしく感じる体験だと言われています。
ですから、リビングや玄関などから見えない位置に扉を設置する方が望ましいと言えそうです。廊下などに面している場合は、スペースに余裕があれば扉の前に壁をつくって空間を分けるなどして、トイレから出た先が直接廊下に面することがないよう計画することが大切です。
リビングやキッチン、といったパブリックエリアに隣接するような配置は極力避けましょう。
時々、ガラス張りの脱衣所内にトイレを併設しているデザイナー住宅を拝見するときがありますが、施主の理解があってのものですので、特別な意図がない限りそのように計画するのは注意が必要です。
トイレの数は2つが理想
トイレは共用部にと書きましたが、多くの住まいの場合2階建てであることがほとんどだと思います。そして子供室や寝室も2階に設けることがほとんどです。
子供室や寝室は2階に配置という固定的な考え方には異論が残りますが、一般的な解釈としてはそのように捉えるべきでしょう。
その場合、いちいち夜中に1階へ降りてトイレに向かうというのはいかにも不便です。やはり2階の寝室などの近くにもトイレを設けるべきだと思います。
今はよくても年齢を重ねるに従いトイレが重要になってきます。そう考えると平屋と言えども、やはり寝室に近い場所にあった方が良いので思いますので基本的には2箇所の設置を検討した方が良いでしょう。
朝などの忙しい時間にも2つあると「トイレ待ちが」解消されて便利でもあります。
トイレは落ち着ける個室
みなさんは経験したことないでしょうか。長くトイレに籠もって本を読んだり、携帯の画面をずっと眺めていたり。
トイレは家の中でも特に小さな空間なので、「安堵感」を得やすいという特徴があります。また鍵も掛かるのでよりプライベート色が強く「一人になりたい時」に利用する人も多くいらっしゃいます。
装飾棚やニッチをつくる
トイレをゆっくりと落ち着いて利用したい場合には、装飾用の棚を設置したり可能ならばニッチを作ってみたりすると良いです。かわいいデザインタイルを貼るなどすると、小さな空間に抜群の存在感を放ちますから大好きなタイルなどがあれば積極的に使用すると良いでしょう。
●ニッチとは
建造物内部の壁面に設けて神像や装飾品を安置する「隙間」や「くぼみ」の意味があり、壁龕(へきがん)とも呼ばれる
Wikipediaより引用
つまり、壁をくぼませて棚を作った箇所のことをニッチと呼びます。
気に入った本を数種類並べておくとインテリアにもなりますし、自然と手にとって読んでしまいがちなので書籍に触れる良い習慣付にもなりますからオススメです。
照明計画にこだわる
落ち着く空間にするためには照明が不可欠です。人間は色温度が低いと心が落ち着く傾向にあります。また照明の光が上から照らされるよりも低い位置からの光に「安堵感」を得ます。
このことを利用して照明を選んでみましょう。
天井に付けるダウンライトやペンダントライトの照度は低く設定し、足元にスタンドライト置いたり、カウンターにテーブルライトを置いたり間接照明を仕込んだりして空間全体がやんわりと明るくなるよう計画します。
照明が複数あれば影が出来にくく、やんわりとした空間が出来上がりますのでオススメです。
●色温度とは
光の色味を数値化したもので、単位はK(ケルビン)。電球色は2700K、蛍光色は5000Kなどと表記される。数値が低いほど赤い色となり、数値が高いほど白い色になる。色温度が低いとは電球色に近いということ。
掃除がしやすい仕上げにする
トイレは汚れやすいですから、掃除がしやすい仕上げにすることが大切ですね。つまり床や壁、便器も含め「拭き掃除」がしやすい仕上げ素材を選んだほうが良さそうだと言えます。
床
床は特に汚れやすいですから気を遣いたい箇所です。例えばクッションフロアやフロアタイルなどが候補に挙げられます。これらの表面はビニールなので耐水性が高く油汚れにも強いのでメンテナンスが簡単なんですね。
それに、これらはデザインがとっても豊富で石目調や木目調はもちろん、コルク調などもありインテリアデザインの幅が広がります。近年では本物と見間違えるほど精巧なデザインとなっています。
クッションフロアに至っては発泡性があるので遮音性や、衝撃吸収性にも優れていますし、抗菌・消臭機能を持った商品もあります。
床をフローリングなどにしている住まいを目にすることもありますが、長い目で見るとあまり良い仕上げ素材だとは言えません。どうしても使用したい場合には、便器の周りだけでも御影石などを使用すると良さそうです。
壁
壁は床に比べ汚れにくいとは言え、おしっこが跳ねて飛んでしまったりすることもありますから、やはり仕上げに気を遣うべきだと思います。
調湿効果や空気洗浄などの効力を期待して、漆喰やシラス・じゅらく壁を使用しているお住まいもありますが、掃除のしやすさという観点からするとベストな選択とは言いにくい。
やはり抗菌仕様のクロスや傷や汚れがつきにくいハードタイプのクロスを利用したいところです。
雰囲気やデザインを優先して居心地の良い素材を使用したとしても、汚れていては元も子もありませんよね。
しかしながら、意匠設計をメインとしている設計事務所やデザインに興味のある施主の場合にはクロスが正解だとは一概に言えないこともあります。
雰囲気やデザイン面を重視すると、タイルや左官材(塗り壁)なども候補となり得ますから、ユーザーが使用に関して理解を示しながらケースバイケースで選択していくことになりそうです。
汚れやすい箇所のみ掃除がしやすい面材を貼る、一面のみをアクセント壁にするなどの方法も検討すると良いでしょう。
トイレの広さの目安
住宅の場合、あまり広いトイレは計画しにくいですよね。使用に関して可もなく不可もなくという意味においては畳1枚(1帖)程度があれば良いと言えます。しかし、それでも広さが取れないという場合には0.75帖でも良いでしょう。
トイレに座って立ち上がる際、そしてお尻を拭く際に頭が扉や壁に当たらなければ使用に関しては合格と言えそうです。しかし落ち着けるかどうかいうと疑問が残ります。
また介護が必要な場合には便器の横に介護者が一人立てる必要があります。一般的には便器横に45センチ~60センチほどのスペースが欲しいところ。車椅子利用の場合はさらにスペースが必要なので壁の中心を基準に1.82m✕1.82m四方のスペースを必要とします。
最近の住宅事情から言うと落ち着きと手洗いスペース、飾るスペースなどを考慮し一般的には幅1.365m✕奥行き1.82mを計画したいところです。
トイレの音問題
トイレ使用中の音に関しても考慮しなくてはなりません。いくら家族といえども使用中の音はやはり気になるもの。
リビングや寝室といった居室に近いと壁を通じて音が聞こえてしまう恐れもあります。安心して気持ちよくトイレを使用するためにも、お部屋とは適度な距離を保つほうが良さそうです。
しかしながら、計画上どうしてもお部屋の隣に設置しなくてはならないパターンも十分考えられます。そんな時には壁の内部に『吸音ウール』(大建工業 吸音ウール 455 6枚入り GB1801-5)を入れましょう。
これだけでびっくりするほど音の問題が解消されます。吸音材の価格も安いのでオススメです。吸音材の代わりにグラスウールなどの断熱材を使用することもあります。
便器の種類
現代建築のトイレは水洗式です。新築やリノベーションを基本としているのでここでは水洗式をご紹介します。
水洗式のトイレでは大きく分けて3つのスタイルがあります。それは
●タンクレストイレ
●タンク式手洗い付トイレ
●タンク式手洗いなしトイレ
です。
タンクレスは見た目もスッキリして表面積も小さいのでお掃除がしやすいので人気です。しかし値は張ります。また水圧も確認が必要です。水圧が低い場合も「ブースター」を取り付ければ使用できますが追加で費用が掛かってしまいます。
タンク付きの場合は、タンク上に手洗いが付いているものがあります。手洗いなしのものもありますが、省スペース化で手洗い場を設けることが出来ない場合には手洗い付きを選択する方法もあります。近年では、節水式や汚れが付着しにくいもの、溝がなくスッキリとしたタイプなどありとあらゆる工夫が施されて、どの商品を選んでも遜色ありません。見た目に余程の拘りがないようでしたら、価格重視で選択しても特に大きな問題はなさそうです。
中には自動で蓋が開閉するもの、自動洗浄がついているもの、瞬間的に便座が暖かくなるもの、音楽や光、アロマまでついているものなどトイレのサービスが半端ないものがあります。
『トイレに何を求めるか』ユーザーのニーズが多様化しているということが伺えますね。
トイレ使用後の手洗いを考える
前述のタンクの種類から引き続き手洗いのご紹介です。トイレの使用後の手洗いはどこでしますか。
洗面所で済ますという方もいらっしゃるでしょうが、お客様の場合も洗面所へお通ししますか?
プライベート色の強い洗面所へお客様を招き入れるのはなかなか難しい場合もあります。となればやはりトイレを使用してすぐに手洗いできる場所を計画する方が良いことになりますね。
住宅設備機器メーカーでは、たくさんのトイレ用手洗いが用意されています。
●壁にカウンターを取り付け、小さな手洗器を設置したもの
●壁を掘り込み、手洗器を埋め込んだもの
●トイレの角に棚を設置して手洗いボウルを置いたもの
などがあります。
トイレのスペースを有効に利用するための工夫が施されているので手洗器を選ぶだけでも楽しそうですね。
余裕があれば、トイレとは別に専用手洗いスペースを設けると良いです。そこではお役様の利用を想定して小さな鏡を設置するなどの工夫も出来ます。お化粧直しやヘアスタイルのチェックなども出来ますので、あれば意外と重宝されます。家族にも受けが良いようです。
トイレには窓があったほうが良い
トイレには窓があれば良いに越したことはありません。いくら機械換気の技術が発展し、匂いが留まりにくいとはいえ、やはりそこは小空間。新鮮な空気を取り込んだほうが良いでしょう。それに人によっては小空間では息が詰まる思いをする人もいます。
太陽の光を室内に取り込むことで息詰まり感を軽減させることが出来ます。
どうしても窓が設置できないような間取りでも諦めるのはまだ早いです。トイレの真上が屋根の場合には天窓を設置することも検討します。たとえ2階建てであっても真上が廊下などであれば、廊下の床を高強度の乳半ガラスや強化ポリカーボネートにすることを検討しましょう。簡易的な天窓になります。
それだけでも、閉塞感は軽減され昼間であっても暗いということはなくなります。トイレの天井に木製ルーバーなどを設置しルーバーの陰影を強調しても雰囲気がグッとあがって良い空間になります。
トイレに窓の設置が可能ならば、窓の形状やガラスにも気を付けましょう。
トイレの窓は防犯上の観点からあまり大きな窓は得策とは言えません。人が入りにくいような縦長い窓や横長い窓が良いでしょう。窓スタイルの名称で言えば「すべり出し窓」「縦すべりだし窓」がそれにあたります。もう少し大きめで防犯上有効なもので言えば「上げ下げ窓」も良さそうです。
いずれも開閉するのに手間が掛かり、外から開けようとしても開けにくいという特徴があります。
ガラスはプライバシーの観点から透明ガラス以外を選択すべきでしょう。ハイサイドライト(高い位置にある窓)であれば然程問題ではありませんが、室内から開けにくくなりますので通常は「型ガラス」「フロストガラス」などを使用します。
24時間換気扇を設置する
「住宅内部の空気を入れ替えなさい」ということが法律で決められています。住宅の場合は、1時間あたり部屋の容積の半分以上は換気しなくてはなりません。数値で言うと「0.5回/h」以上と決められています。
全ての部屋が対象ではありませんが、わたしたちが生活する空間はほとんどが含まれます。
この24時間換気ですが3つの方法があります。ここでは詳しい説明は省きますが、自然に空気を取り入れて機械で排気する方法「第三種換気」と、空気の取り入れも排出も機械で行う「第一種換気」がメインとなります。
いずれも住宅の内部を空気が効率よく流れて排出されるのですが、トイレに空気の排出口を計画するようにしましょう。
トイレに換気扇を付けず、別部屋に24時間換気扇があったとします。するとどうでしょうか。臭気がトイレを出て別の部屋へ行ってしまいますよね。
結論を言えば、24時間換気に拘わらずともトイレは単独の換気扇でも良いので付けるべきです。
ちなみに24時間換気の排気口をトイレとした場合に風量が弱い場合があります。換気扇によっては、強弱のスイッチがついているものがありますので、このあたり考え方は納得できるまで設計士に確認するようにしましょう。
ペーパーホルダーで遊ぶ
紙巻器ですが、デザインは星の数ほどあります。トイレってなにもしなければ、便器とペーパーホルダーだけでとてもシンプルな空間です。
シンプルな空間に溶け込むようなスタイリッシュなペーパーホルダーもたくさんありますし、可愛らしいデザインのペーパーホルダーもあります。
空間のスタイルに合わせてチョイスし、遊び心をもったインテリアにしたいものですね。
タオルハンガーで遊ぶ
ペーパーホルダー同様に様々なデザインがあります。ステンレス製の大人しいものもあれば、鋳鉄製の無骨なものもあります。モールディングを施したアンティーク調なものまで様々です。
手洗器をつけるなら、タオルハンガーも合わせてデザインしたいものですね。
ペーパーストックで遊ぶ
トイレットペーパーを保管しておく場所ってムダじゃありません!?せっかくの収納がトイレットペーパーってもったいないと思うんです。トイレ中に紙がなくなって取り替えるときも、いちいち棚の中から取り出すのも大変。お客様だったらもっと大変!
ということで、トイレットペーパーのストックは目に見える場所に飾っておくようにストックすると良さそうです。
トイレブラシは見せる?
みなさんはトイレ用のブラシって、どのようにしてますか?収納の中に仕舞うのは気が引けますし、やはりオモテに出して便器の横などに隠しておくという方が多いのではないでしょうか。
隠してもどうしても見えてしまうものですので、どうせでしたらデザインされているものをチョイスしたいですよね。
まとめ
みなさんいかがでしたか?一口にトイレは用を足すところといっても考えるべき項目はたくさんあることがお分かりいただけたかと思います。
とくに換気扇に関しては、環境や設備の知識が必要になりますので疑問に思ったことは担当の設計者に確認するようにしてくださいね。
トイレは個室という空間であるものの、その使用方法や使用環境、トイレに求めるものなど施主の住まい方一つで大きく変化します。
皆がこうだから、昔からこうだから、一般的にはこうだから、という既成概念を持つことは抑止力にはなっても判断基準の決定打にしてしまうことは危険です。あくまで自分たちのためのオリジナル住宅ですから、自分らしく計画するように務めて下さいね。周りの意見の惑わされて本来の目的を見失わないよう気をつけて下さい。
みなさんのドリームハウスを作ってくれるパートナーが、みなさんの要望を丁寧に汲み取って計画してくれる素晴らしいパートナーであることを願っております。
今日はこんなとこ!おしまいっ
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