みなさんこんにちは愛とロマンの男マーカスです。今回は「高さ制限」についての紹介がメインです。
新築の戸建てを手に入れようと着々と計画を進めているみなさん。もしくは、住宅の購入を検討中のみなさん。
建築可能な土地についてどれくらいご存知でしょうか。
希望エリアを歩き回ってやっと探した土地、不動産業者を何件も回って探した土地、ハウスメーカーの営業マンがやっとの思いで探してきてくれた土地。
様々な形で土地との出会いがあったかと思います。
条件に見合った土地がやっと見つかった!やったー! さぁ、住宅の間取りの検討だー!!
ちょっと待ってください!
その土地って本当に住宅を建てても大丈夫ですか?? ちゃんと確認したり調べたりしてみましたか?
えっ…だって、不動産業者からの紹介だから大丈夫じゃないの?
ハウスメーカーの営業マンが探してきてくれたんだよ?大丈夫じゃないの?
歩き回ってやっと見つけたんだよーー!大丈夫じゃないの?
大丈夫かもしれませんし、大丈夫ではないかもしれません。
それを確認するのが、施主であるみなさんの役目です。
「でもプロに任せてあるから・・」
プロに任せても、施主であるのはみなさんなのです。
みなさんの住宅なんです。
あとで『実はこうなります』って言われて、
「知らない」「聞いてない」では済まされません。
任せた責任がみなさんにあるからです。
厳しい言い方かもしれませんが、現実は甘くはありません。
不毛な争いごとは無いに越したことはありませんよね。
建築する前に問題が起きないよう、気持ちよく住宅が建てられるよう、過信するのではなく是非ご自身で確認するクセをつけるよう心掛けましょう。
とは言っても専門知識がないと全てを確認することはムリです。
ですから、この記事では施主の皆さんが「知っておくと便利な基本的事項」を掻い摘んで紹介していきたいと思います。
今回は「高さ制限」についての紹介がメインです。
高さ制限
高さ制限については注意しておかなくてはなりません。
土地を購入したはいいが、高い建物が建てられない。
ロフトがつくれない。
道路に寄せられない。
北側に寄せられない。
隣家に寄せられない。
などの制限がプランに大きな影響を与えることも少なくないからです。
基本的に土地には用途地域というものが定められています。
定められていない土地もありますが、それはまた別のお話し。
この用途地域には建物の高さを決めているルールがあります。
が、それらを全てご紹介しようとすると、とてもこの記事内ではまとめることが出来ません。
ですので、住宅を建てるという目的に沿った部分のみ掻い摘んでご紹介します。
絶対高さ
絶対高さは
住居系の
・第1種低層住居専用地域
・第2種低層住居専用地域
にのみ定められています。
「低層」という名がついていることからもわかるとおり、
住居の高さを低く抑えて良好な住環境を整えようという目的があります。
10m、もしくは12m まで という高さの制限があります。
これ以上は建てられませんので注意が必要です。
具体的には、3階建てや4階建ては現実的ではないということになります。
2階建てでも天井の高い建物や屋根が極端に高い建物などは計画することが出来ません。
北側斜線制限
北側斜線制限は
住居系の
・第1種の低層、中高層住居専用地域
・第2種の低層、中高層住居専用地域
にのみ定められています。
太陽は北側からは照りません。
東や西、南側から照ります。
住宅どうしがくっついていると、どうでしょう。
太陽の光が建物の影になって西や東、南側からほとんど入ってこないということになります。
そうならないために北側斜線制限という決まりがあります。
これは、「建物の北方向の境界線からある一定のルールで仮想線をつくり、その線に建物が掛かってはいけませんよ」
というものです。
そうすることで、お隣の建物は南側を確保できるのです。つまり太陽の光を確保できるのです。
言葉にすると難しいですね。
簡単に言うと
「北側に寄せて計画しちゃダメ。 寄せたかったら、低く建物をつくってね。低くしたくなかったら建物どうしを離しなさいね。」
ということです。
数字を用いて極端な例を挙げます。
低層住居専用地域内において、北側の境界線へピタッとくっつけて計画したとします。
するとその地点では高さ5mまでしか建てられません。
中高層住居専用地域内で同じことをすると、その地点では高さ10mまでしか建てられません。
境界線から離れれば離れるほど、距離の※1.25倍に比例して緩和されていきます。(日影規制に関する記述は省略します)
注釈)斜線は地上から5Mのところから始まります。勾配は1.25です。
つまり斜めの線、斜線の制限が出来た というわけです。
隣地斜線制限
隣地斜線制限は
住居系の
・第1種中高層住居専用地域
・第2種中高層住居専用地域
・第1種住居地域
・第2種住居地域
にのみ定められています。
北側斜線の考え方と似ていて、良好な住環境を作り出すための措置です。
「建物どうしが近づきすぎれば、暗くなるし、風の通りも悪くなるし良くないよ。高い建物作りたかったら適度に離して計画してね」
というわけですね。
しかし、北側と大きく違うところは、この斜線制限が始まる高さは、
地上20mの位置からなんです。
つまり戸建住宅を考えている限り、20m以上になることは基本的にはありませんから、この隣地斜線制限はそのような決まりがあるということだけ知っていれば良いかと思います。
これは主にマンションなどに必要な規制と言えます。
道路斜線制限
道路斜線制限は全ての用途地域に定められています。
それだけ重要な高さ制限と言えますね。
建物が建てられる土地というのは、必ず道路に接していなくてはなりません。
道路がないと誰も土地に侵入することが出来ないからです。
この道路というのは、不特定多数の人が利用します。
また道路を挟んで向かい側にも同じように建物が計画されますが、これらが互いに良好な環境を生むこと等を目的に道路斜線制限が設けられています。
道路に近づいた建物がとっても高い建物だったら、道路はもちろん、向かいの建物には風も通らないですし、太陽の光も届かないかもしれませんよね。
日本の狭い国土を、健全で有効に活用するための知恵と言って良いと思います。
道路斜線制限は我々の敷地が道路に接していない側の境界線が重要になってきます。
つまり上の考え方からすると、向かい側の建物の道路境界線のことです。
この地点から我々の土地に向かって、勾配1.25(商業系、工業系の用途地域では1.5)という仮想線を引きます。
この仮想線に接触しないように高さを抑えること。
これが道路斜線制限の基本の考え方です。
「そっかぁ。じゃ道路から離して計画すればいいんだね」
「道路から離し…て、土地が狭いから離せない!」
となること。結構あります。
そこで、偉い人たちが考えたわけです。
「道路から離して計画すれば、斜線のスタート地点をもっと遠くにやってもいいよ」
と緩和措置を設けてくれました。
斜線が遠くに行ってくれたお蔭で、もう少しだけ高く計画が出来ますね。
これにより狭い土地でも健全な建物が計画しやすくなりました。
ここで、カンの鋭いみなさんならお気づきかと思います。
「道路が広いとイイんだけど、狭いと不利じゃない??」と。
そのとおりです。
道路が狭いと斜線がコチラ側へ近いわけですから当然です。
だから、土地の購入時には、目の前の道路の広さ(前面道路幅員と言います)が超重要になってくるというわけなんです。
(しかもこの道路幅員。容積率にも影響を及ぼします。)
しかし、狭い日本のことですから、狭くて人がひとり歩けるかどうかという道路も数多く存在します。
クルマどうしの離合もギリギリという道路もあります。
山側に行けば土地よりも道路が低いことだって往々にしてあります。
上の基本事項を守っていては、そもそも建物が建てられません。良好な環境をつくる以前の問題です。
そこで偉い人たちが、また考えたわけです。
「斜線のスタート地点から一定の距離以上離せば、高さはどうでもいいよ」
と、またまた緩和措置を設けてくれました。
その距離というのは20mだったり25mだったり30,35mだったりします。
商業地域のように高層ビルが建ち並ぶ地域は50mというところもあります。
ちょっと話が飛躍しすぎました…。
住宅レベルでいうと、自治体や市レベルの細則で決まりがあります。つまり、本当にどうしようもない場合はケースバイケースで対応するから細則の規定内であれば相談に乗るよ ということです。
だからといって、どんな土地でもどうにかなるわけではありません。
むしろ、どうにかなるケースはすごく稀です。
その土地でオリジナルの規定があることがありますから、必ず事前に調べることをオススメします。
わからない方は、役所もしくは不動産業者もしくは建築家に相談しましょう。
まとめ
「都市部の土地を購入!!さぁ3階建てを建てよう!」
「でも道路は狭いよ?」
「しかも、ココの土地って実は第1種低層住居専用地域だったんだよね….建てられないね」
となっては、後の祭りです。
そうならないためにも、これらの高さ制限については基本内容くらいは知っていても損はしません。
いかがでしょうか。
高さ制限というと複雑そうですが、一般の戸建て住宅のことだけを考えるとシンプルでカンタンです。
・第1種低層住居専用地域、第2種住居専用地域では、10m、12m以下の状態で北側に寄せなくても理想のプランが実現可能かどうか確認しよう
・前面道路幅員がどれくらいか確認し、理想の位置に住宅が計画できるか確認しよう
検討しながらのプランニングというのは素人では大変難しいのでプロの出番と言えそうです。
プランニングはプロにお任せするとして、みなさんがやるべき大切なこと。
それは、
「どんな制限がある土地なのか」 を確認できる目を持っておくこと
これが重要です。
今日はこれくらい!おしまいっ
ここまで読んで下さったみなさん、本当にありがとうございました。
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